ドーパミン中毒者
- lunariagrace17
- 2025年12月28日
- 読了時間: 7分
更新日:1月5日

近頃、FF14のユーザーが減少しているといいます。
それが事実かどうか確認を取れる正確なデータはないものの、確かにゲームをプレイしていると、街中で見かける人の数が少ないとか、コンテンツファインダーのマッチングスピードが遅くなっているとか、人が減っているなあという印象を受けることは少なくありません。
吉田プロデューサーのインタビューのなかでも、「莫大な時間をかけなければ楽しさを得づらいという従来のMMOのスタイルは今の時代にそぐわなくなってきている。FF14も8.0に向けて次の新生を迎える覚悟で開発を進めている」というニュアンスの発言があったようです。
私は、Ultima Online時代からのMMO好きで、EQ2やFF14などを含めると、MMOのプレイ歴は20年以上になりますので、近頃の簡略化されたFF14には若干の物足りなさを感じる立場です。けれども、多くのプレイヤは、現時点のFF14でさえ、いろいろな手間や面倒、困難さを感じているのでしょうか。
■ MMOが流行らない原因はドーパミン中毒者の増加?

MMOが流行らない理由を、私は、ドーパミン中毒者の激増が原因のひとつだと分析しています。
(今回の記事も、「これだけがすべての原因!」と断定するものではありません。MMOが流行らない理由は他にもたくさんありますが、今回はドーパミンに着目したエントリとなっています。)
今は、1億総スマホ社会とも言われます。スマートデバイスが普及して、XやYouTube、InstagramやTikTokなど、無料のSNSが流行。短文投稿やショート動画を、短い時間で大量に消費するという文化が生まれました。SNSを使えばすぐに他人とつながったような幻想に浸ることができて、「いいね」をもらえると、簡単に高揚感がもらえる仕組みです。
ソシャゲと呼ばれるゲームも誕生しました。こちらも基本のプレイは無料ですが、1回300円、10回3000円といった高額のガチャを回して、強いキャラクタや武器を手に入れると、よりゲームを楽しめるという仕組みです。もちろん、ほとんどはハズレなので、多くのユーザーは射幸心を煽られ、アタリが出るまで何万、何十万円、ときには何百万円ものお金をかけてガチャを回してしまう人もいるようです。
どちらにも共通しているのは、指先一本でタップやスワイプをすれば、(お金を膨大につぎ込みさえすれば)簡単にドーパミンが大量放出されるので、瞬間的な快楽や強い高揚感を即座に得られること。モノによってはギャンブル並みの中毒性があり、「やめたいのにやめられない」という危険性もあります。

心理学者B.F. Skinnerの行った実験のなかに、『オペラント条件付けの実験(変動比率強化スケジュール)』というものがあります。
引くと必ずエサが出るレバー
引いてもランダムでしかエサが出ないレバー
の2つをサルに用意したところ、サルは2番のレバーを狂ったように引くようになったというこの実験……。知っている方も多いのではないでしょうか。
次こそは出るかも! と思わされる仕組みのガチャを用意されると、あたりが出るまでお金をいくらでもつぎ込んでしまうという、悲しい人間の心理……。
お金をたくさん儲けたい人たちは、「バカな連中からカネを簡単で効率的にむしり取るにはどうすればいいのか?」を日々、熱心に研究していますが、ソシャゲのガチャもそういう思惑から生み出されたものだと理解しています。私は、そういういやーな思惑にはコントロールされたくないと思っていますが、あなたはどうですか?
人間の脳は、特に、『●●をすると大きな報酬や強い快感が得られる!』という(しかも、短時間の作業で簡単に報酬を得られる楽な)体験を一度でもしてしまい、大量のドーパミン放出を体験してしまうと、労力の必要な取り組みや、刺激(ドーパミン放出)の少ない作業には興味を示しづらくなる……。
人間の脳は、最短で努力をせず、瞬間的な快楽や大量のドーパミンを得られるのなら、躊躇なくそちらを選ぶようにできています。
反対に、FF14のようなMMOは、蓄積型の高揚感を得る仕組みになっています。
高難易度をクリアして大きな達成感や高揚感を得るには、人集めや予習、練習などにそれなりの長い時間や労力がかかります。ガチャのように「お金を払って即座に快感!」、「SNSで人とつながった幻想に陶酔して「いいね!」をもらって即座に快感!」とはいかないわけです。
ソシャゲのガチャによる集金が主流になりつつあるゲーム業界で、FF14のように、時間をかけないと大きな達成感が得られない仕組みのMMOは、ソシャゲのガチャやSNSの自己陶酔によってドーパミン中毒になってしまった人たちには、刺激や承認、満足感が物足りなくなってしまうので、ユーザーが減少する……。
当然の結果だと思いませんか?
■ ONE FOR SEVENはセロトニン傾向のコミュニティ

ドーパミンの大きな特徴は、放出されたときには強い快感を得られる反面、その気持ちよさは長くは続かないということです。長くは続かないからこそ、「もっと強い刺激が欲しい!」と感じてしまって、徐々に中毒症状に至ります。覚せい剤やLSDなどの薬物依存も、こういった脳の報酬系の仕組みを化学的に支配されてしまうことで起こります。一度強い刺激を知ってしまった人間は、なかなかその快楽依存や中毒症状から抜けることができなくなるわけです。
では、どうすればそういう中毒症状にならないのでしょうか。ドーパミン中毒から遠ざかるにはどうすればいいでしょうか?
答えは簡単。はじめから、なるべく激しい刺激には近寄らないようにすればいいんです。
人間の味覚も、毎日のように味の濃いジャンクフードばかり食べていたら、素朴な和食では物足りなくなってしまいます。だから、毎日、中毒のように同じようなものばかりを食べて続けてしまう……。最後は生活習慣病で短命になるでしょう。
けれども、毎日素朴な食生活を続けている人は、そもそも濃い味のジャンクフードを食べようとはあまり思いません。素朴で質素な食生活でも、それが当たり前なので、毎日、小さくてもおだやかな幸せを感じることができます。
私たちONE FOR SEVENも、「レイドをクリアできた!」という瞬間的な快感以上に、「毎日みんなで雑談しながら楽しく遊べればそれでひとまず幸せだよね~」という、長期で持続可能な幸福感を重視して活動しているコミュニティです。
ですから、多くのゲームプレイヤーがドーパミン中毒になりつつある今、ただでさえ流行りにくいMMOのなかで、「長期の関係をつくりながら、みんなで楽しく笑って遊び続けよう!」という、セロトニンやオキシトシンといった幸福ホルモンを重視するうちのチームは、もっと流行らないわけです。
ただ、私が常々思っていることは、目の前の「楽」や「簡単」、「個人の瞬間的な快楽」ばかりを日々追い求めて選んでいると、中長期的に見て必ずどこかで堕落するということです。
毎日、ジャンクフードばかりを食べていれば、必ず短命で病死します。
毎日、自分の瞬間的な快楽ばかりを選んでいたら、他人とは良好な関係が築けず、誰にも愛されず、誰とも真に親しい関係を築くことができず、どこのコミュニティにも所属できずに孤独で終わります。
私はそういう道を選んで地獄に落ちた人たちをたくさん見てきたので、たかがゲームであっても、長期に持続可能な仲間とのつながりを大切にして、チームを運営しています。

〇 クリアより誰と遊ぶかを大切に
〇 みんなで良い食事を囲んで会話する
こういった、激しい刺激を追い求め過ぎない長期の人との関わり合いが、ドーパミンでは得られない素朴な幸福感をもたらしてくれます。
長い取り組みですし、短期の固定活動に比べたら、大きな快楽や強い刺激は得られないかもしれません。でも、真の幸福感は、ドーパミン傾向の激しい体験(お金や成功、達成感や優越感、他人への勝利)では得られないことを、過去の失敗から学んできましたので、私たちはこれからもこの取り組みを継続していきます。
美味しいグルメにも、うま味のある人間関係にも、瞬間的な快楽にも、必ず、あなたを壊す『毒』が付きまといます。長く続けていると身体や心が病んだりして、長期的に見たら人生を壊す元になるかもしれません。
十分にご注意くださいね。



