能力の低い人ほどイキってしまうのはなぜなのか？

仕事や趣味を問わず、複数の人が集まるあらゆるコミュニティで、能力の低い人ほどイキってしまうという恥ずかしい場面に出くわした方は多いと思います。

実はこれ、ダニング・クルーガー効果という心理学の分析で簡単に説明がつきます。

簡単にいうと、能力が低い人（たとえば初心者）は、正しい知識がなく、まともな失敗や経験もないので、自分を客観的に見つめることができず、「自分はすごいんだ！」という勘違いを起こしてしまい、過大な誤った自己評価に陥ってしまうというものです。

（反対に、能力の高い人は、自分のことを客観的に見つめることもできるので、自分のことを過小評価しやすいというデータもあります。）

こういった状況に陥りやすいのは、新卒の若い社会人とか、外部の評価や査定が入りにくい中小零細企業の社長さんとか、趣味をはじめたばかりのビギナーの方とかが多いでしょうか。

FF14のプレイヤーさんも、下手くそでスキルの低い人ほど、他人に偉そうにマウントを取ってしまったり、「自分はすごいんだぞ！」と傲慢な態度や発言をしてしまう人が多いように思います。（チームを長く運営させていただいていると、エオルゼアのヒカセンも、スキルの高い人ほど謙虚で、めったなことでは他人に指摘や文句を言わないという傾向が見えてきます。）

過去、うちのチームにもそういう方がいらっしゃいました。あまりスキルは高くないけど、プレイ歴は長いので、自分を熟練のベテランプレイヤーだと勘違いしてしまっていたようで、自分よりも経験の少ないビギナーの方に「自分はあなたよりもうまい」とか、「なんでもっと●●しないんですか？」などといった、チームの雰囲気を悪くするだけの、つまらないマウント発言を多くしてしまうといった場面がありました。

客観的にみれば、実はお相手のビギナーの方のほうがスキルが格上だったのですが、ダニング・クルーガー効果の罠に陥ってしまったご本人には、そういう客観的な事実は一切見えなくなってしまう……。とても怖いですね。

（残念なことなのですが、そういう尊大な方は、楽しく笑ってレイドを遊ぶというチームの目標を達成するためには不適切なので、継続をお断りするしかありません……。）

1. 知識や経験が浅い人

2. 自己反省が不足してしまう人

3. フィードバックを受け入れない人

4. 単純化思考の人（複雑な問題を過度に単純化して考える人は、問題の深さや自分の知識の不足に気づきにくい。）

こういう方が、ダニング・クルーガー効果の罠に陥りやすいようです。

もちろん、自分の能力を過信することは、自分の能力以上のチャレンジをしてみよう！ という勇気や気運につながることも多いので、一概に全否定はできません。けれども、ダニング・クルーガー効果の罠は、誰にでも起こりうることですので、常に新しい知識や情報を得るための学習を忘れず、知識をアップデートしていくことが必要です。

また、むやみやたらに他人を批判するのではなく、「自分なんてまだまだ足りないことばかりだ」という、自分の能力を客観的に評価する方向に思考をシフトし、謙虚な姿勢を維持することを決して忘れないことが、なによりも大切なことではないでしょうか。

多くの人は、上図の「馬鹿の山」で満足して「絶望の谷」で引退してしまいますが、どうせ道を極めるなら、多くの挫折や失敗を繰り返しながらも、「継続の大地」までたどり着きたいものですよね。